今日は、当塾に通う、ある生徒について書こうと思います。
小学生が中学生に上がったときにまず苦戦するのが、英単語の暗記です。
どんな生徒でも、英単語を初めて覚えるとなると、20個の単語を覚えるのに2時間はかかります。
特に単語を覚えるのが苦手な生徒だと、暗記時間を3時間取っても8個くらいしか覚えられないこともあります。
そして、単語テストで何回も不合格となり、何回も再テストを受けるうちに徐々に覚えるコツをつかんでいきます。
その生徒は特に英単語を覚えるのが苦手な生徒でした。
中学生に上がる前に行う春季講習では、60分の暗記時間を取っても、英単語を4つ覚えるのがやっと。当然、再テストになります。
それに、英単語テストはほぼ毎日のように行うので、再テストはどんどん溜まっていきます。
しかし、その生徒のすごいところはここからです。
その生徒は、何時間かかっても、すべての再テストを確実に、着実に終わらせていきました。
1つの単語テストを合格するのに3時間以上かかるところを、毎日のように塾に来て合格していきました。
周りが次々に合格して帰っていく中、一人黙々とやり続けていた様子は、今でも鮮明に覚えています。
「覚えるのが苦手だからやらない」ではなく、「覚えるのが苦手だから人より多くやらなければならない」と、覚えるのが苦手な自分と真っ向から戦っている様子でした。
その後は、覚えるスピードは徐々に速くなっていきましたが、授業中の決められた時間内に覚えることが出来ず、毎回のように再テストになっていました。しかし、嫌な顔一つせずにすべての再テストを着実に終わらせていきました。
中1の夏期講習で、その真面目さがついに花開きます。
いきなり覚えるコツをつかんだのか、英単語テストにほとんど引っかからなくなりました。15分の暗記時間で28~30個の単語を覚えられるようになりました。
そこからは英語に自信がついたのか、「先生、次の定期テスト、英語は任せてください」というような言葉をよく私に言ってくれるようになりました。その言葉の通り、その生徒自身が目標とする点数まであと一歩というところまで来ました。
「自分の苦手を自覚し、それに立ち向かう」というのは簡単にできることではありません。
生徒たちのこういった姿を見ていると、「私も苦手なことから逃げてはいけないな。」と、身が引き締まる思いです。