鼻をつまんで息を止めて7周走る価値が果たしてあるのだろうか?

昨日、久々に山登りに行きました。

山登り…なんてたいそうな言葉を使ってしまいましたが、登った山は飯能市にある天覧山と多峯主山。

天覧山(てんらんざん)は標高195m、多峯主山(とうのすやま)は標高271m。

ともに低山なので「山登り」というよりかは「ハイキング」もしくは「野山の探索」といった方がいいかもしれません。

とくに天覧山は私の一番下の子(年少)でも15分程度で登ることができてしまう山ですので…

さて、そんな山登り(というかハイキング)の途中で、こんな池がありました。

多峯主山の山頂付近にポツンとある池です。

名前を「雨乞池(あまごいのいけ)」。

この池、夕方なり、辺りが暗くなり始める頃に見たらとてつもなく怖い気がします…(私が到着したのは真昼だったので怖くはなかったですが。)

何かのホラー映画とかで出てきそうな雰囲気が…

そんな私の感想などどうでもいいですね(;^_^A

さて、この池には言い伝えがあるようです。

写真の看板にはこう書いてあります。

看板に書いてあること
この池を雨乞い池、または雨乞渕という。こんな山頂にありながら、かつて水の枯れたことのない池である。
古くはこの上手(うわて)に高龗(たかおかみ)・闇龗(くらおかみ)がまつってあって、近郷の人たちの信仰があつかった。
※高龗・闇龗=雨をつかさどる神として古来祈雨(きう)・止雨(しう)の神
田畑の作物が枯れるような旱天(かんてん)が続くと、ここに集まって、神に雨を乞い、池のまわりでにぎやかなお祭りをしたという。
「この水を濁すと雨が降る」といい、また、鼻をつまみ息を止めて七廻りすると、池の中に異変がおこるといったような伝説もある。

私が引っかかったのは最後の部分です。

鼻をつまみ息を止めて七廻りすると、池の中に異変がおこる」という部分。

まず、この雨乞いの池を息をとめて七周もできるのかどうか。

写真では私の子どもが2人しか映っていませんが、日曜のお昼、多峯主山はわりと多くの登山の方がいます。

周りにも人がポツポツ通るんですね。

私自身が鼻をつまみ息を止めて走ることはなかなかできません。

やはり私にも羞恥心というものがありますので。

そこで、私に代わって?子どもたちが鼻をつまんで息を止め、池の周りを走ってくれました。

もっとも長く回れたのは長女。

記録は池半周…。まったく7周には届きませんでした。

では私が走ったとしたらどうだったのか。

果たして息を止めて七周もすることが可能なのかどうか。

計算してみます。

おそらくですが、雨乞いの池の直径は10mほど。

すると円周は直径×3.14ですので、10m×3.14=およそ30mということになります。

小学生、中学生の皆さんは50m走をだいたい7~9秒くらいで走るのだと思います。

すると30mは4秒~6秒くらいになるでしょうか。

しかし、私はオジサンです。長距離なら多少走れますが、短距離はたいして得意ではありません。

そして、池の周りはカーブしてます。さらに山の中ですので地面はボコボコ。この季節、落ち葉が積もっています。さらに周りの人の目も気にしなければいけませんので必死の形相では走れません。多少余裕を持ってカッコつけながら走らないといけません。

ということは雨乞池一周を走るのに少なくとも10秒前後はかかりそうです。

「いや、先生!ちょっと待ってください。ただ息を止めるだけじゃダメなんですよ?”鼻をつまみ”ながらじゃないとダメなんですよ?」と、しっかり看板の文言を読んだ生徒さんから指摘が入りそうです。

となると、両腕を振って走ることもできないんですね。。

これだけの悪条件がありますので、1周あたり15秒くらいはかかってしまうかもしれません。

1周15秒×7周=105秒…

これはなかなか大変です。

そもそも私は何もしていない状態でさえ105秒も息を止めていられるのかどうか…

試しにこの記事を書いている今、やってみました。

記録、79秒…

止まっている状態でさえ、105秒間息を止めることができないのです。

ちなみに息止めの世界記録はクロアチアのダイバーの方が出した24分37秒だとか…

この人であれば雨乞池、息止め7周チャレンジを達成できるかもしれません!

いや、やはり難しいかもしれませんね。

この方の息止めも水中でじっとしている状態での達成ですから。

走っている状態で息を止めるというのはなかなか大変だと思います。

それに低山とはいえ、地上よりも酸素濃度も多少は薄いはずです。

標高270m付近だと地上の97~98%の酸素濃度になるようです。(これが一体どの程度、人体に影響するかは分かりませんが。)

今度は距離の側面から、雨乞池7周チャレンジが達成可能なのかどうか探ってみます。

30m×7周=およそ210m。

陸上の200mの選手であれば鼻をつまんで息を止めて、サッと走り切れるのではないか?

現在の200mの世界記録はジャマイカのウサイン・ボルト選手が2009年に記録した19:19です。

ピーク時のボルト選手が雨乞池7周チャレンジをすれば、池の周りの環境要件を考えても40秒~50秒くらいで終えることができるのではないか?

40秒~50秒であれば、ボルト選手であればなんとか呼吸なしで行けるのではないか?

ちなみに陸上の400mの世界記録が43秒03とのことです。(ウェイド・バンニーキルク選手:南アフリカ)

そして、陸上の400mというのは「無酸素状態で行うギリギリの競技」と言われています。

ということは、むしろウサイン・ボルト選手よりも、ウェイド・バンニーキルク選手の方が可能性はある!?

「先生、無酸素状態って、息をしないってことなんですか?」という鋭いツッコミを入れてくれる生徒さんもいそうです。

調べてみると、「無酸素状態とは決して無呼吸というわけではない。」と書いてありました・・・

雨乞池7周チャレンジ・・・

相当難易度が高いチャレンジのようです。

世界最高峰レベルの陸上選手ですら、容易に達成できるチャレンジではなさそうです。

歴史上、本当に達成した人がいるのでしょうか・・・?

大昔の飯能の農民の方々は、鼻をつまみながら息を止め山道を走る特別な訓練をしていたのでしょうか。

謎は深まるばかりです。

そして、そんな超難易度なチャレンジを達成した結果、何が起こるかというと「池の中に異変がおこる」だけ。

ハードは訓練を重ね、死に物狂いでチャレンジした結果、「池の中の水の量が少し減った」とか、「池の水が微妙に紫色に変わった」とか、「池の水が少し臭うようになった」とかだったら悲しすぎます。

せめてそれだけの苦労をしたのだから、「日照り続きの田畑に恵みの雨を降らしてくれる」くらいでないと救われない気がします。

名前も「雨乞池」ということですし。。

「あれ?でも先生、それだったら”この水を濁すと雨が降る”って書いてあるんだから、池のそばに落ちてる長めの枝でも拾って、池の底をかき回せば良いんじゃないですか?」という意見を出してくれる生徒さんもいそうです。

そうなんです、雨を降らしてもらうにはそれでいいのです!

そうやって看板に書いてありますので。

じゃあ、鼻をつまんで息を止めて池を7周もする目的って一体・・・

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