なぜ塾が必要なのか

「学校教育がしっかりしていれば本来塾など必要ない」

「学校でしっかり勉強を教えることができれば塾など必要ない」

そういう言葉を目にすることがあります。

分からないでもないですが、ちょっと違和感があります。

そんなことを言ってしまえば、世の中の多くの仕事が同じように言えるのではないでしょうか。

美容院だってそうです。

髪の毛を自分で上手に切ることができれば、美容院にわざわざ行く必要はありません。

もしくは、家族に上手に切ってくれる人がいるなら、その人に頼めばいい訳です。

もっと似たような例ではフィットネスジムなんかがそうかもしれません。

とくにダイエット目的でフィットネスジムに通う場合なんかは学習塾に似ているかもしれません。

「自分自身が節制できていれば、ダイエット目的のフィットネスジムなど必要ない。」

「自分自身で意識を高く持って運動できればダイエット目的のフィットネスジムなど必要ない。」

そんなことも言えそうです。

でも、やっぱりそんなことはないですよね。

これだけ多くのフィットネスジムが世の中にはある訳ですから。

ダイエットするにはどうしたらいいか?

おそらくですが、その答えはほとんどの人が知っているはずです。

食事制限をするか、運動をするか。

そういったことですよね?

しかも、今はネットを調べればたくさん情報が出てきますから、カロリーの低い食事とはどういうものか、また、それをどうやって作るか。または、効率の良い運動とはどういうものか、どうやってやればいいか、頻度はどのくらいでやればいいか。

様々な情報をすぐに手に入れることができます。

じゃあ、誰でも簡単にダイエットをすることができるのか?

答えは、否。

そんなに簡単にダイエットをすることができるのなら、世の中にこれだけ多くのフィットネスジムは存在しないはずです。

もちろん、フィットネスジムに行けば様々なアドバイスをもらえるでしょう。

運動の頻度や食事制限の仕方など。

しかし、フィットネスジムに通う最大の理由は、「強制力」だと思います。もしくは「環境」と言ってもいいかもしれません。

たとえば川越市から都内に通勤している人がいたとします。

週に5日。

朝6時に起きて家を出て、帰ってくるのは夜の8時過ぎ。寝るのは毎日夜11時以降…

大変だと思います。

この生活の中で、ネットから得た情報をもとに自分の意志だけでダイエットを続けることができる人はそうそういないと思います。

やはり毎日の忙しい生活の中で、「今日くらいいいか…」とサボってしまう日もあると思うんですね。

そして、「今日くらいいいか…」はやがて今日だけでなく、明日も、明後日も、その次も・・・となってしまう。。

正直、私もそういう経験がありますので書いていて恥ずかしくなるのですが・・・

フィットネスジムに通えば、やはり「忙しいけど、トレーナーの方の言うことだけは守ろう!」という気になるのかもしれません。

せっかく作ってもらったダイエットプランをちゃんと遂行しないのは申し訳ない…と。

また、トレーナーの方はことあるごとに声をかけてくれるかもしれません。

「ずいぶん、体が引き締まって来たんじゃないですか!」とか、「この前よりもだいぶ長い距離を走れるようになりましたね!」とか。(私はジムに通ったことがないので分かりませんが。)

自分と同じようにダイエットを頑張る人たちが周りにいることも、モチベーションを高める大きな要素になるかもしれません。

「忙しい日常の中で、1人だと甘えてしまうこともジムに通えば何とかやり続けることができる、だからこそこれだけ多くのフィットネスジムが世の中にあるのではないだろうか」などと、私自身は思っています。

実は学習塾の必要性も似たような部分があるのかな、と。

もちろん、我々は分かりやすく解き方を教えたり、効果的な学習方法を伝えたり、適切な受験指導をしたりなど、そういう役割もあります。

しかし、そういったことは実は今の時代、ネットを探せばたくさん出てきたりもするんです。

正直なことを言えば、我々しか持っていない秘伝の教え方だとか、我々しかない機密情報みたいなものはほとんどありません。

(おそらくそれは大手学習塾でも同じだと思います。私自身、大手学習塾に勤めていたのである程度は分かっている部分がありますので。。)

じゃあ、生徒さん達はネットで得た情報をもとに自分一人で学習を継続することができるのか。

受験勉強を乗り切ることができるのか。

もちろん、一握りの意志の強い生徒さんは1人で乗り切れるかもしれません。

しかし、多くの生徒さんにとってそれはなかなか難しいことだと私は思います。

大人が一人でダイエットを継続するのと同じです。

「勉強とダイエットを一緒にするな!」とお叱りを受けてしまうかもしれませんが、「辛いことを乗り越える」という意味においては同じだと思います。(もちろん、辛い勉強や辛いダイエットが楽しいことに変わることもありますが。)

学習塾に通う意味はいろいろあるかもしれませんが、フィットネスジム同様に「強制力」だとか、「環境」だとか、そういう部分が大きいのではないかと。

だからこそ、われわれ講師はフィットネスジムのトレーナー同様に、勉強が嫌にならないように、できるだけ毎日の学習を前向きに取り組めるように、生徒の様子をよく観察し、頻繁に適切に声がけをし、励まして行かなければいけないのだと考えています。

今の中学生は本当に忙しいです。大変です。

週に5日学校の授業があります。平日は週に4日程度の部活動もあるでしょう。土日に部活動が入る生徒さんも多いです。くわえて学校から出される宿題もある訳です。(クラブチームや習い事の活動がある生徒さんも…)

下手したら大人よりも大変な生活かもしれません。

そんな生活の中、自分一人の意志だけで勉強の時間を取り続けられる生徒さんがどれほどいるのか。

個人的な意見ですが、けっこう・・・いや、かなり厳しい話だと思っています。

「忙しい毎日でも、この塾に行けば勉強をすることができる。先生たちに見てもらっていれば勉強を続けることができる。」

塾に通う意味として、その部分が大事なんだと思います。

教え方も大事です。

カリキュラムも大事かもしれません。

でもそれ以上に大事なのは「生徒さん達にいかに勉強を継続してもらえるか」だと思っています。

だからこそ、山口学習塾では補習や再テストは無制限に行います。

定期テスト前には3週間も塾に呼びます。

一人では甘えてしまって逃げ出したくなる時もあるでしょう。

そうさせないために、とにかく塾に来て我々と一緒に、周りの仲間たちと一緒に、勉強をする環境に1分でも多く身を置いてもらおうと考えているのです。

そこにこそ、学習塾に通う大きな意味があるのではないかと私自身は考えています。

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