緊張や不安との向き合い方

受験生。

いよいよですね。

私もさすがに緊張してきました。

皆さんも、この入試にかけて来た努力が大きければ大きいほど、不安にもなるでしょうし緊張もするでしょう。

緊張や不安に包まれると、人はそれをかき消そうとします。

緊張や不安の状態から一刻も離れたいと思い、それらの感情を忘れようとします。

でも、残念ながらそれは無理です。

かき消そうと思えば思うほど、忘れようと思えば思うほど、それらの感情は沸き起こって来てしまいます。

緊張や不安、その感情こそ、皆さんが真剣に覚悟を持ってここまで努力をして来た証です。

かき消そうとするのではなく、忘れようとするのではなく、真正面から受け止めれば良いのです。

「あぁ、俺(私)は今、すごい不安なんだな。すごく緊張しているんだな。何も手につかないほどに落ち着かないんだな。」と今、ここにいる自分と向き合ってみてください。

もしかしたら、そうやって今ここにいる自分の不安や緊張に向き合っているうちに、少し落ち着いてくる部分があるかもしれません。

野球ファンでない人はなじみがない言葉かもしれませんが、WBCという野球の世界大会があります。

このWBCの第二回大会のとき、日本は決勝で韓国と対戦しました。

3対3で迎えた延長10回表。

ツーアウト2,3塁の絶好のチャンスでバッターボックスに入ったのは、あのスーパースターであるイチロー選手でした。

しかし、実はこの大会、イチロー選手はずっと絶不調だったのです。

イチロー選手自身、このときバッターボックスに入るのが怖くて怖くて仕方がなかった、とおっしゃっているようです。

カウント0-2から4球連続ファウルで粘り、7球目はボール。カウントはフルカウント。

この時、イチロー選手は自分自身の心の中で一人中継をしていたそうです。

「さあこの場面、イチロー選手が打席に入りました。はい、ファウル。はいまたファウル。はいそこの低めファウル。」と。

不安や緊張をかき消そうともがくのではなく、追い込まれた今ここにいる自分自身を徹底的に受け入れた結果、イチロー選手は一人中継にたどり着いたのかもしれません。

そして8球目、イチロー選手は見事にセンター前ヒットを放ち、日本を優勝に導きました。

皆さんも不安や緊張で何も手につかない状況であれば、イチロー選手のように一人中継をするのもいいかもしれません。

私が最近読んだ本に書いてありましたが、呼吸にすべての意識を集中するのも効果があるそうです。

ただ深呼吸をするだけでなく、

「今、自分は息を吸ってるな。もう少し、息を吸えそうだな。息を吸ったからお腹が膨れて来てるな。お、今がちょうど限界だな。これから自分は息を吐く。だんだんお腹が凹んで来たな。」と、一人中継を行うように呼吸をゆっくりしてみる。

そうすると少しだけ頭がスッキリして、冷静に物事を考えられるようになることもあるようです。

落ち着かない心境も残すところあとわずかです。

目を背けるのではなく、その気持ちも大事な受験勉強の一部ですので、しっかりと味わってもらえればと思います。

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