先日の中3理科の授業で水圧と浮力の学習をしました。
と書き始めると「なんだ、勉強のお堅い話か。読むのやめよう。」となる生徒さんも出てきそうですが…
開始二行目で読むのを止めるのはさすがに早いです!もう少しだけ読み進めてくれることを願います!
授業の中で「人間がどのくらい深く水の中を潜れるのか?」という話もしました。
ササッと調べたところ、2014年にエジプトの男性がスキューバダイビングで水深332mを達成したとのことです。
川越駅西口に大きなマンションが建設中なのを皆さんは知っていますか?(私は狭山市の田舎に住んでいるので全く知りませんでした…)
なんと、その建設中のマンションは高さ90m超らしいです!川越でもっとも高いマンションになるとか…
あ、今は川越のマンションの話をしている場合ではありませんでした💦エジプトの男性が水深332mも深く潜ったという話でしたね。つまり、この男性は川越でもっとも高くなるであろうマンション3つ分よりも深く潜ったということです。
そのすごさを実感したい人は、ぜひこのマンションが完成したら見に行ってみてください。そして、そのマンションを見ながら、それを3つ分重ねるイメージをしてみましょう。おそらく水深332mというのが、とんでもなくスゴイ記録というのが分かると思います。
さて、授業では話せませんでしたが、ダイビングなどをするとき気をつけないといけないことがあります。それは減圧症です。
先日の授業で中3生は学習しましたが、水に深く潜れば潜るほど水圧は大きくなります。つまり、水から大きな力で押されるわけです。
ちょっと難しい話になってきますが、大きな圧力で押されると気体は地上よりもたくさん溶けます。イメージとしてはこんな感じでしょうか。
強い力で押すと緑色の気体の粒子がより多く液体に溶けこみます。
つまり、海に深く潜れば潜るほど水圧が強くなって、吸い込む空気がたくさん体の組織や血液に溶け込んできます。酸素は運動で消費されるから大丈夫。でも、空気には酸素だけじゃないですよね?これは中学2年生でも覚えている人はいるかもしれません。中学1年生はもう少ししたら習うはず。空気中にもっとも多く含まれる気体はなんでしょうか?
答えは窒素です。空気中の5分の4は窒素。その窒素は酸素と違い、体の中にたまってしまいます。
海深く潜り水圧が大きいときは体の中に溶け込んでいた窒素ですが、海上に上昇し、水圧が下がっていくとともに元の気体に戻っていきます。
さて、体の中で気体に戻ってしまった窒素はどうなるでしょうか。ゆっくりと上昇していけば適切に体外に出すことができるらしいのですが、海の底から一気に海上まで上昇してしまうと、体の組織内で気泡となり、その気泡が大きくなって組織を傷つけたり、血管をふさいでしまったりすることがあります。
これを減圧症というのだそうです。
皆さんも将来、スキューバダイビングが趣味になり、深い海にチャレンジするようになったら気をつけてください。
私は泳ぎが苦手でもあり、さらに海なし県の埼玉に住み続けると思いますので、あまり心配はないかもしれませんが…
さて、話はもう少しだけ続きます。そろそろ勉強の話が続いて飽きてしまった人もいるかもしれませんが、何とか我慢して読んでもらえることを願います!
実は水圧だけでなく、浮力についても面白い話があります。
皆さんは「死海」という湖の名前を聞いたことがあるでしょうか。イスラエルとヨルダンの境目にある湖です。(海、とありますが海ではありません。)
この湖、なんと流れ出る川が一つもないそうです。その話を聞いたときに、「流れ出る川が一つもなければ、水がどんどん入って来て水があふれてしまうだろう?あふれた水はどこに行ってしまうんだ?」と不思議に思いました。
どうやら気温が高いために、水はあふれずにどんどん蒸発していってしまうのだそうです。
水が流れ出ずに蒸発していくと、水の中にある塩分がどんどん濃くなっていきます。そんな死海の塩分濃度は30%だそうです。
海なし県に住むわれわれ埼玉県民にとっては、海水の塩辛さを想像するのはなかなか難しいですが、海水の塩分濃度は3%とのこと。それを考えると死海の塩分濃度がいかに高いかが分かります。
ここで浮力の話が出てきます。浮力とは読んで字のごとく、「浮く力」です。水の中に入ると体が浮きますよね?それが浮力です。
液体の密度が大きければ大きいほど、浮力も大きくなります。それは水の塩分濃度でも同じことが言えます。つまり、塩分濃度が30%の死海の水というのは、普通の海で泳ぐよりも大きな浮力を得ることができるという訳です。
では、死海ではどのくらいの浮力を得ることができるのか。
「死海 読書」と検索してみるとその答えがすぐに出てくると思います。
なんと死海では浮力が大きすぎて、湖面に浮かんで本が読めます。浮き輪なしで。沈む方が難しいらしいのです。スゴイですよね。。
この写真を見て、「じゃあ、自分もお風呂の水に塩を溶かしまくって水の上に浮かんで本を読もう!!」と考える人もいるかもしれませんが、絶対にやめてください。同じように考えてチャレンジした人の記録がネット上にありましたが、皆さん、ことごとく失敗しています。そんなに都合よく塩は溶けないみたいです。
むしろ、そんなに多くの塩をお風呂に溶かそうものなら、お風呂のパイプが詰まったり、浴槽を劣化させたりする危険性があるとのことですので、繰り返し言いますが絶対にやめて下さい。お家の人にとんでもなく怒られると思いますから。
なかなか学校や塾の勉強を面白い、と感じることもないかもしれませんが、一歩だけ深く考えてみたり調べてみると、意外にも面白いことに結びつくかもしれませんね。