居場所感が成果に繋がる

先週から受験生の勉強の合間、10分間の休憩時間に「スーパーマリオをみんなでやる」ということを始めています。(当然、強制ではなく勉強を続けている生徒さんもいますし、他のことをして休んでいる生徒さんもいます。)

そんな受験生の休み時間の様子を見た他の学年の生徒さんから、

「先生、塾で何やってんですか!!塾は勉強をするところですよね!?」とお叱りを受けることもありました・・・(;^_^A

言い訳めいた言葉に聞こえるかもしれませんが、そのゲームの10分間の前後の受験生の様子をちゃんと見てほしいと思うのです。

本当に一生懸命勉強していますから。

誰ともしゃべらず、ただひたすらに問題集と向き合う受験生たちの姿を見て欲しいのです。

それを見れば、「塾は勉強をするところ」で間違いないのは分かると思います。

それに、10分間の休憩で大いに盛り上がった直後。私が「はい、終わりー。じゃあ勉強に戻ろう!」と言った後の受験生の変わり方も見て欲しいのです。

すぐにです。本当にすぐに勉強に入ります。それまでの盛り上がりが噓のように、すぐに「し~ん」となり、みんな勉強に向かいます。

2分前まで「ギャハハハハ」と笑って画面の中のスーパーマリオを動かしていた生徒さんが、全く違う真剣な表情で「先生、この問題を教えて欲しいのですが…」と来るのです。

たしかに塾とゲーム、不釣り合いな気がします。それを塾長の私が認めてしまっていることも、何か不謹慎な気持ちがない訳ではありません。

でも、受験生は本当によく勉強しているんです。そして、ここから2月末まで毎日のように勉強と向き合い続けるんです。そんな受験生たちが10分間だけみんなで笑って、盛り上がって、気分のリフレッシュするというのは、勉強に対しても決してマイナスになることはないのではないか、と先週の受験生たちの様子を見ていて思います。

話を急に変えてしまいますが、私は「居場所感」というのは大変大事だと思っています。

正式な言葉ではないのかもしれませんが、「その場所で安心感を持って過ごせるか」という意味で私は使っています。

たとえば私自身は仕事場や自分の家に居場所感を強く感じています。一方で、図書館にはあまり居場所感を持っていません。たまに子どもと一緒に図書館に行き本を読んだりもしますが、結局は本を借りるんですね。家でゆっくり読む方が落ち着きますし、内容も頭に入るからです。

居場所感のあまりない図書館だと周りの様子が気になって、ことあるごとにキョロキョロしてしまうんです。家の方が子どもたちが騒がしかったりするのに、静かな図書館よりもたくさんのページを読み進められる、なんてことはよくあります。

もっと大きな環境で言うと、東京です。

私は東京、とくに東京23区ともなると途端に緊張します。私の考えすぎかもしれませんが、東京の人達はオシャレで、ピリッとしていて、自信満々な人ばかり・・・表現が難しいのですが、「都会慣れ」をしている人ばかりというか…(東京は都会なので当たり前といえば当たり前なのですが。)

そんな東京に行くと、途端に自分が「場違い」な気分になるんです。変な風に見られてないかな…、田舎者だとバカにされてないかな…、そんな気持ちになるというか。。(本当は誰も私のことなど見ていないのは分かるのですが…)

たまに仕事で東京に行かざるを得ない時があっても、全く落ち着かないので景色を見る余裕もないですし、どこかに立ち寄ってみることなどもほとんどありません。もっと言えば、東京で誰かと仕事上の話をしている時は、全く落ち着かないで上の空だったりすることもあるくらいです。

それだけ居場所感というのは行動にも繋がることだと思うんですね。安心できる居場所であれば効率の良い行動ができる、中身の濃い行動ができる、つまりそれが良い結果に繋がる、そんなことを私自身は真剣に考えている部分があります。(だから私は川越や住まいのある狭山周辺で行動するのが好きなのですが。。東京、東京とばかり言っていますが、実はさいたま市から東の地域も都会の雰囲気があり苦手だったりします…)

生徒さんにとっても、塾への居場所感は勉強の効率に大きく繋がることだと思うのです。やはり、安心して塾に滞在することができる生徒さんと、どこか居心地の悪さを感じながらソワソワして過ごす生徒さんでは、1分1秒の学習効果に差が出て来ると私自身は思っています。

だからこそ、講師やサポーターたちには口酸っぱく「とにかく生徒全員とコミュニケーションをとること。短い言葉でもいいから声をかけること。」と言っているんですね。

こじつけのような言葉に聞こえるかもしれませんが、だからこそのゲームだと思っています。先週1週間、一日わずかな時間のゲームでも、今まで全くコミュニケーションを取ったことのない生徒さん同士が声を交わしたり、笑顔を交わしたりという様子がありました。

とくに遠くの学校から通ってくれている生徒さんの中には、「その学校の生徒が周りに誰もいない」という子もいます。居場所感の話で言えば、そういう生徒さんはやはりどこか居心地の悪さを抱えてしまう可能性があるのかもしれません。

でも10分のゲーム中に交わす一言、ゲームの中で協力する一時、そういう積み重ねが塾への居場所感に繋がるのではないだろうか、と思うのです。今までは肩身が狭かった生徒さんが、ゲームを通して「自分も山口学習塾の受験生チームの一員なんだ」と何となくでも感じてくれるようになればいいな、と思うのです。

一見、勉強には関係なさそうなゲームですが、居場所感が生まれ、日々の勉強への集中力が今までよりも高まってくれれば、勉強の成果にも繋がることがあるのではないか、そんな風に思うのです。

こんなことを語ってしまうと、ゲームが好きな生徒さんからは「だったら先生。もっとゲームの時間を増やした方がいいですよ!」などという言葉も来そうですが、そこは安心してください。

ゲームの時間は休み時間内だけ、というのは決して変えませんから(笑)

塾はあくまで勉強をする場所です。勉強のためのゲームであることを忘れないでくださいね。そもそも私は「受験生たるものゲームもスマホも全部禁止した方が良いのではないか」と考えている部分もあるくらい昔の人間なのですから・・・(笑)

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