「努力すれば誰だってできる」
塾講師として、本当ははっきりこの言葉を使いたいんです。
自信を持って言い切りたい。
でも、この言葉は重い。
その理由の1つは、努力してもやっぱり届かないことが現実的にはあるということ。
本当に周りよりも努力して、自分の時間もこれ以上ないほどに削っても、届かないことが現実的にあります。
「自分なりに頑張った。」そんな生ぬるいレベルの努力ではなく、誰から見ても敬意を持たれるような、悲壮感漂うような努力をもってしても届かないことがあるんです。残酷な現実です。
2つ目は、努力は誰にでもできるわけではない、という点。
マラソンの元日本記録保持者の藤田敦史さんが、ある本の中でおっしゃっていました。
「努力するにも才能が必要なんじゃないか。」と。
甘えを断ち切る意志、日ごろから体調を整える管理能力、ちょっとのことでは動じない精神力。本当の努力を続けるには、そういうものが必要なのかもしれません。
だからこそ、私は努力をしている人をみると尊敬します。感動します。
それは生徒であっても同じです。
冬期講習、山口学習塾の受験生たちは朝の9時半から夜の9時まで塾にいます。
10時間以上の学習、大人であっても大変だと思います。
そんな中、一人夜10時まで残る姿があります。他の生徒たちよりも1時間延長して勉強している生徒がいます。
今の時点で志望校まであと少しの生徒。
誰に言われるでもなく、一人教室に残り黙々と机に向かう姿。
凄いですよね。我々でさえ朝からの授業で、夜9時になればさすがに疲れています。
我々でさえこの講習期間に、「仕事が終わってもあと1時間仕事をしろ。」なんて言われても、なかなかできることじゃありません。
恥ずかしながら先生という立場にありながら、彼のような努力ができるかどうか、私は自信がありません。
彼の姿を見て、私はさきほどの藤田さんが日本記録を出したときの言葉を思い出します。
「神様は確かに存在する。そして神様は奇跡を起こしてくれる。しかし、神様は死ぬほど努力した者にしか力を貸してくれない。」
塾だよりやブログでも何度も紹介している言葉です。
一人教室に残る彼に、きっと神様は力を貸してくれる、私はそう信じています。