努力しても点数が取れないテストがある?

どんなに努力しても点数が取れないテスト

「そんなテストあるわけない。」

「努力が足りないだけだろ?」

そう思われるのが普通だと思います。

しかし、私のように塾講師をずっとしていると、本当に稀ではありますが「どんなに努力しても点数が取れないテスト」と言わざるを得ない定期テストを見ることがあります。

学校のワーク、学校の教科書、学校の授業用ノート、学校の先生から配られたプリント、塾のワーク、塾のプリント、塾の模擬テストなどなど。

これらを何周もして完璧に近いところまで覚えきっても点数が取れないテストというのが稀にあるんです。

このようなテストがそれに該当します。

  • テスト範囲表に書かれていない範囲からの出題が多い。
  • 学校のワーク、学校の教科書、学校の授業用ノート、学校のプリントのどこを探しても載っていない内容からの出題が多い。

「そんなバカみたいな定期テストがあるはずがないだろ?」

もしかしたら、この記事を読んでくださった保護者様や生徒さんからはそういう意見が出るかもしれません。

しかし、もしこの記事を私と同じ塾講師の方々が見ていてくれたとしたら、共感してくれる方もいるかもしれません。

私の思い出として残っている具体的な例を紹介します。

もう10年以上も前の話ですので、時効ということで・・・(;^_^A

それに該当の生徒さんは、今、講師として働いてくれている矢田の中学1年生の時のことですから(笑)

矢田の中学1年生の一学期中間テストでそれは起こりました。

当時、山口学習塾は今よりもずっと小さな塾でした。

矢田の学年はその時は2人だけ。

生徒がたった2人でしたので、一学期中間テストに向けてつきっきりで徹底的に指導させてもらいました。

とくに英語、数学は私も自信を持って矢田をテストに送り込んだ記憶があります。

英語は95点以上(個人情報ですので、さすがにハッキリした点数は隠しておきます 笑)

しかし、数学は80点に届きませんでした。

「そんなバカな・・・」

私も矢田の数学の仕上がりには自信を持っていましたので、点数を見てショックを受けました。

すぐに問題用紙と解答用紙を見せてもらいました。

問題用紙をみて愕然としました。

なんと中学1年生の数学のテストに、中学受験の算数の問題が載っていたのです。

私は大手学習塾では中学受験の算数も担当していましたので、問題文を読んで直ぐにそれらが中学受験特有の「特殊算」と呼ばれるものだと分かりました。

その時に出題されたのはたしか、「鶴亀算」「時計算」「旅人算」あたりだったかと思います。

それも1,2問ではなく、それなりの分量の出題がありました。

テスト範囲表には「小学校の復習」とは書いてあったのです。

ですから、矢田にも”小学校で習う”算数の問題はしっかりと学習してもらいました。

しかし、「特殊算」というのは中学受験特有のもので、小学校では習わないものなんですね。

習うとしたら中学受験コースのある学習塾の授業を受けていなければいけません。

テキストも公立小学校用のものではなく、中学受験用のテキストでなければ特殊算は載っていません。

仮に特殊算を使わずに「鶴亀算」の問題を解こうとするなら、方程式を使わなければいけません。

しかも、一般的には連立方程式を使うことになるかと思います。

でも、連立方程式は中2の数学で習うものなんです。

要は、中学受験特有の勉強をしていない限り、この時点の矢田少年が「鶴亀算」や「時計算」や「旅人算」を解くことは、どれだけ勉強しても不可能に近いということです。

それでも彼は何とか自分なりの解き方で数問は解いてくれていましたが。

(だから70点台後半は取ってくれていました。)

数学のテストを私に見せてくれた時の矢田の表情は今でも忘れません。

「あれだけ勉強したのに…」という悲しい顔。

私は学校の先生を悪く言うことは滅多にありません。

学校の先生には学校の先生の方針や事情があると思いますから。

いろいろ考えたうえでのテスト問題だと思いますので。

しかし、この時ばかりは矢田の努力や、矢田の気持ちを考えてこう言わざるを得ませんでした。

「さすがにこれは問題が悪すぎる。これは教科書やワークをいくら勉強しても解くことはできない。だから、気にしなくていい。あなたはよく努力してくれた。こんな問題でよくこれだけの点数を取ってくれたな。」

おそらくこういうような言葉をかけたかと思います。

努力してもなかなか結果が出ないことはあります。

自分では努力したつもりでも、それでも尚足りなかった…ということもあります。

でも、努力しても元々結果を出すことができないような状況というのは、どうなのでしょうか。

それで「よーし、次は頑張るぞ!」と思える人がいるでしょうか。

大人だって、良い評価をもらおうと一生懸命営業成績を伸ばしたはずなのに

「今回は営業成績ではなくて、ミスが少なかった人を評価します。」

なんていきなり言われたら、一気にやる気をなくすと思うんです。

正当に努力をして正当に力を発揮した人が正当に評価される。

そういう状況でなければ、大人だってやる気は出ないと思うのです。

中学校のテストについて文句を言いたい訳ではありません。

学校の先生には、それぞれ方針や思惑がしっかりあると思います。

それにほとんどの定期テストがしっかり努力が反映されるテストになっていますから。

でも、稀にあらわれる理不尽と言わざるを得ないテスト。

本当に努力した生徒さん達が、その努力を全く不意にされてしまうようなテストというのは、個人的な意見ではありますが避けて欲しいとは思います。

もちろん、簡単なテストを作って欲しいなどということではありません。

難しくてもいいと思うんです。

でも、その難しさが正当な難しさであって欲しいと思います。

どれだけ努力しても届かない場所に正解があるような出題というのは、努力をした生徒さんほど落胆が大きいのではないでしょうか。

「こんなの勉強したって分かる訳ないじゃん!」と生徒さん達に思われるようなテストではなく、

「努力して良かった!」「今度は、もうちょっと努力しないといけないな。」

生徒さんがそうやって思えるような定期テストであって欲しいと願います。

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