何を教えないか

理科の勉強をしていると、指示薬が出てきます。

有名なところでいえば、リトマス紙、BTB溶液、フェノールフタレイン溶液、石灰水あたりでしょうか。

塩化コバルト紙やベネジクト溶液あたりも、定期テストや入試によく出題されます。

しかし、理科の教科書を見てみると、ほかにも指示薬が載っています。

たとえば、中3のイオンの単元では、ムラサキキャベツ液や万能pH試験紙なども掲載されています。

ムラサキキャベツ液は、酸性で赤色、中性で紫色、アルカリ性で黄色を示します。

万能pH試験紙は、酸性で赤色、中性で緑色、アルカリ性で紫色を示します。

皆さん、ムラサキキャベツ液も万能pH試験紙もしっかり覚えましょうね!

……というのは冗談です。

ムラサキキャベツ液も万能pH試験紙も、入試や北辰テストではほとんど出題されていませんので、覚える必要性は限りなく低いと思います。

ですから、私の指導では「覚えなくていい」と伝えています。

また、理科の電気の分野では、「フレミング左手の法則」が出てきます。

左手を使って、磁界の向き・電流の向き・力の向きを判断する考え方です。

私はこれについても、入試や北辰テストに向けては「覚えなくていい」と伝えています。

なぜなら、これを使わなくても磁界の問題は解くことができるからです。

もちろん、フレミング左手の法則を使った方が理解しやすいのであれば教えます。

しかし、毎年フレミング左手の法則を学校で習った生徒さんを見ていると、むしろこの法則が邪魔になって問題が解けなくなっているケースが非常に多いのです。

(まず、フレミング左手の法則の形を正しく作るところで苦戦する生徒さんが多数。そして、どの指が何の方向を示すのかで混乱する生徒さんも多数。仮に形も正しく作れ、指の役割も覚えていたとしても、それを問題の図に当てはめる段階で苦戦する生徒さんが多数。中には右手を使って悩んでしまう生徒さんも少数います。)

フレミング左手の法則を使うよりも、電流・磁界・力の関係を正面から理解した方が、長期的な記憶にも残りやすいように感じています。

ですから私は、毎年フレミング左手の法則そのものを教えるのではなく、その原理を教えるようにしています。

結局、その方が得点にも結び付きやすいと考えているからです。

(学校の定期テストでは「フレミング左手の法則で、それぞれの指が示す方向を選びなさい」のような問題が出ることがありますので、そのときだけは覚えておいてね、と伝えていますが。)

当たり前ですが、われわれ塾講師は勉強を教えることが仕事ですから、知識についてはできるだけ多く身に付けるようにしています。

われわれ自身が持つ知識は、多ければ多いほどよいと思っています。

しかし、それをすべて教えるかどうかは別の話です。

あくまでわれわれの使命は、生徒さんたちが定期テストや入試でより多くの点数を取れるようになるのをサポートすることです。

自分たちが持っている知識をすべて教えることではありませんし、学校の教科書や塾のテキストに書いてあることをすべて教えることでもありません。

「定期テストや入試でより多くの点数を取れるようになる」ために、あえて教えないこともあるのです。

「何を教えるか」と同時に、「何を教えないか」も非常に大切だと考えています。

教えない部分を作ることで、演習時間を増やしたり。

教えない部分を作ることで、大事な内容をより分かりやすく説明したり。

塾の指導というのは、「教える」のと同じくらい、「教えない」ことも大切だと考えています。

ですから、

「あれ? 教科書に載っているのに塾の授業では扱わないな」とか。

「あれ? 学校で習ったのに塾の授業ではやらないな」とか。

そう感じることがあったら、定期テストや入試で結果を出すために「あえて教えない」という判断をしたのだと思ってもらえれば幸いです。

もちろん、休み時間など余裕のあるときに個別に質問してもらえれば、入試に出ない内容であっても可能な限りお伝えしたいと思っています!

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