ノルマではなく、目標に。

写真は小学2年生の長女の冬の宿題です。

かけ算九九を、「普通に(上がり九九)」「逆から(下がり九九)」「ランダムに(バラバラ九九)」の3パターンで、9の段を各30回ずつやるというなかなかハードな宿題です。

つまり30回×3パターン×9の段=810回やる訳です。

「いんいちがいち、いんにがに、いんさんがさん・・・いんくがく」これで1回のカウント。

これを810回やる訳ですね。

正直、塾講師の私でも気が遠くなります。。

それは長女も同じ気持ちだったようで、この宿題をやるときは表情から魂が抜け、体からはエネルギーが消え、動きもノロノロ、目は死んだ魚のよう、1回やる度に麦茶を飲みに行ったり、弟のブロックのおもちゃをいじったり…

そして、一回やる度に「あ~、4の段なんかあと20回もやらないといけないのか…。あ~面倒くさい。。」とこぼすわけですね。

何度かブログでも書いていますが、私は自分の子どもたちの勉強に関しては極力教えないようにしています。

特別深い理由はないのですが、やはり自分の子どもを教えるのは生徒さんを教えるのとは全く勝手が違うのですね。

とにかく、お互いに甘えてしまうのです。

当たり前の話ですが、長女は私のことを先生ではなく父親だと思っていますので、すぐに泣きごとを言います。

私も生徒さんではなく実の娘ですので、感情的になってしまいます。

その結果、訪れるのは親子喧嘩の時間です。

そして、宿題はそのまま進まず・・・

このかけ算九九の宿題にしても、長女に付き添っていたのは妻でした。

しかし、長女のあまりにも酷いグダグダっぷりに「さすがにこれじゃ、いつまで経っても終わらないな…」と私も思う訳です。

そこで、長女がかけ算九九をダラダラ言っている間、ストップウォッチでこっそり時間を計ってみました。

そして、長女が苦手な4の段のバラバラ九九を一回終えたところで

「はい、今のは25秒かかったね。」と声をかけて見ました。

すると、今まで魂の抜けた表情をしていた長女の目が変わりました。

「え?計ってたの?最初から言ってよ!じゃあ、もう一回やるからちゃんと計っててよ。」と。

今までとはまるで別人のように必死に九九をやり始めたのです。

「今の何秒かかった?」とか。

「くそ~、今のちょっと詰まっちゃったからな~」とか。

「ちょっと待ってて。気持ちを準備するから。スーハースーハー(深呼吸)」とか。

最終的には

「4の段ってあと何回できるの?あと5回で7秒切るのか~、できるかな…?」と言い始めるのです。

あと〇回やらないといけない、という意識でノルマをこなすようにやっていた時は彼女の口から出る言葉は、「あと〇回もやらないといけないのか…」ばかりだったのです。

しかし、時間を計り始めたとたん、逆に「目標(彼女の場合は1つの段を7秒以内で言う)を達成するためのチャンスがあと〇回しかない!」という発言に変わっていたのです。

勉強をはじめとして「やらなければいけないこと」をノルマとして捉えてしまうと、なかなか気持ちが前向きになれないことは多いのかもしれません。

たとえば、このブログの記事なんかもそうです。

「毎日更新すること」みたいなノルマを自分に課すのも良いのかもしれません。

それが行動の原動力になる人もいるでしょう。

でも、案外それだと気持ちがついていかず、いつの間にか更新が滞ってしまう…、そういう人もいると思います。

実際、私もそういう時期がありましたので、その気持ちはとてもよく分かりますから・・・(;^_^A

しかし、ノルマではなく、「できるだけ多くの人が面白いと思ってくれるような記事を書く」という目標達成に向けてのブログにすると、意外に前向きに書けるような気がするのです。

(実際に多くの人が面白いと思ってくれているかどうかは別として。。)

私のマラソンもそう。

「毎日走らないといけない。」「月に〇〇㎞は走らないといけない。」

そういうノルマだけでは続けるのはやはり厳しいんですね。

単純に気持ちがどんどん重くなるというか、暗くなるというか。。

そうではなくて、「川越マラソンで1時間30分を切る」という目標があると、「ノルマをこなす」という精神的な負担からだいぶ逃れられるような気がするのです。(といっても今回の川越マラソンは目標達成できませんでしたが…)

たぶん、今の受験生たちが最もそういう状況だと思うのです。

6月の後半から塾での受験勉強が始まりました。

皆さんには平日は毎日塾で3時間半の勉強をすることをノルマとして強制して来ました。

おそらく、最初は嫌で嫌で仕方なかった人も多かったと思います。

それを物語るように受験勉強のはじめは、時間ギリギリに塾に来て3時間半ぴったりで帰宅する生徒さんも多かったです。

しかし、今は多くの受験生がすでに3時間半という時間を忘れているかのような状況です。

できる限り早く塾に来て、自分が納得するまで勉強している。

気づくと3時間半など、とっくに超えている訳です。

受験勉強の始め、皆さんが毎日見ていたのは「3時間半」というノルマだったのかもしれません。

しかし、今はそうではなく、皆さんが見ているのは「志望校合格」だけ。

「3時間半」というノルマは今の皆さんの視界には全く映ってないような気がします。

長女のかけ算九九の話からだいぶ飛躍をしてしまいましたね。

私の悪い癖です・・・m(__)m

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