「家畜」という言葉を聞いて皆さんが思い浮かべる動物は何でしょうか。
牛や豚、鶏などを想像した人も多いかもしれません。
川越も少し田舎にいけば養鶏場や牛小屋があったりしますよね。
私の家から少し行ったところには豚肉を扱っているサイボクハムがあります。
ロマンティックな性格をしている人は馬や羊が頭の中に浮かんだかもしれません。
でも、ライオンやトラが頭に浮かんだ人はいませんよね?
なぜでしょうか?
皆さんが「家畜」という言葉を聞いたとき、ライオンやトラなど肉食動物を思い浮かべることはほとんどないと思います。(思い浮かべた人がいたとしたらごめんなさい。)
お家の人に質問してみてください。
「なんでライオンとかトラとかは家畜にならないの?」と。
おそらくはすぐに出る答えとしては、「危険で飼えないから」という答えが出るはずです。
そのような答えが出たら、すぐにこう返しましょう。
「正解、でも甘い!!」と。
人間が動物を飼う目的はいろいろあります。
今回はその中でも「食用」という点に絞って考えてみます。
皆さんは毎日のように牛か豚か鶏の肉を食べているのではないでしょうか。
では、なぜライオンやトラの肉は食べないのでしょうか。
肉食動物の肉はマズい、という話もよく聞きます。
一方で熊の肉などはジビエ料理として親しまれている地域もありますよね。
一説によるとライオン肉のバーガーは美味しいとか…
美味しい、マズい。
または性格が安全だから、凶暴だから。
そういう視点ももちろんありますが、ライオンやトラなど肉食動物が飼育されないもっとシンプルで深刻な問題があります。
動物はエサとして食べるものをどのくらい消化吸収できると思いますか?
どうやら食べたものの10%くらいしか消化吸収できないそうです。
つまり、体重450㎏の牛(草食動物)を育てるには4500㎏のトウモロコシが必要なのだとか。
では体重450㎏の肉食動物(たとえばライオン)を育てるには、どのくらいのトウモロコシが必要になるでしょうか。
体重450㎏の肉食動物は自分の10倍のエサとなる草食動物の肉4500㎏が必要です。
では草食動物4500㎏分が必要とするトウモロコシはどのくらい必要になるか。
草食動物4500㎏が必要とするトウモロコシはその10倍の45000㎏になります。
つまり、肉食動物450㎏⇒草食動物4500㎏⇒トウモロコシ45000㎏ということです。
皆さんが自分の食用として飼育するなら、牛にしますか?ライオンにしますか?
450㎏の牛一頭であれば、トウモロコシ畑で4500㎏収穫すればいいわけです。
しかし、450㎏のライオン一頭の場合は、トウモロコシ畑で45000㎏を収穫しないといけません。(加えて牛の飼育も間に挟むことになります。)
同じ450㎏の肉を手に入れるのに、ライオンを育てるとなると牛の10倍のトウモロコシを栽培しないといけないんですね。
だいぶ極端に例えてしまいましたが、肉食動物を飼育するのがいかに効率の悪いことかが分かると思います。
肉食動物がなぜ「家畜」として存在しないのか。
様々な理由がありますが、その大きな一つが「肉食動物を飼育するのは人間にとって効率が悪いから(=トウモロコシを牛の10倍作らないといけないから)」ということなのだそうです。
ちなみにこの話は、講師の大﨑から借りた『銃・病原菌・鉄』という人類史を辿る本に書いてあります。
ぜひ皆さんもお家の人や友達に
「なんで人間は肉食動物を家畜として飼ってないと思う?」と質問してみてください。
そして、「危ないから」とか、「肉が美味しくないから」という答えが来たら、ニヤッと笑って
「う~ん、それもあるけどもう一歩だね~」と言いましょう。
そして、先ほど私が言った牛とライオンとトウモロコシの話をしてみてください。
きっと「おっ、コイツ、ちょっと賢そうなことを言うヤツだな…」と一目置かれることでしょう。
実際に私はたびたび大﨑の話を聞いて(コイツ、賢いやつだな…)と感心させられておりますので。。(笑)