「故郷」と魯迅

中学3年生の2学期に、魯迅(ろじん)という中国の作家の「故郷」という作品を国語の授業で勉強します。

この時期になると読み返すのですが、読むたびに、やはり素晴らしい作品だなあと思います。

今は寂れてしまった故郷とすっかり老いてしまった友人。それと過去の美しい故郷と身分の隔たりなく接することができた友人との思い出が見事に対比されています。

魯迅は日本の東北大学に留学したこともあり、その時のことを題材に書いた小説もあります。

「故郷」にはチャー(猹)という動物が出てきますが、チャーは魯迅が作った造語だそうで、実際にどのような姿かたちなのかはわからないそうです。

一説によるとアナグマやモグラだという話ですが、その集団でしか通じない呼称で特定の動物を指す、という方言的な言葉は田舎によくあるのかもしれません。または、得体のしれない、何かよくわからない生物がいるという神秘を強調するために「猹」という動物を生んだのかもしれません。

魯迅の故郷は中国の紹興(しょうこう)という町だそうで、日本ではお酒の「紹興酒」の名前で知られています。地図で位置を確認すると、だいたい鹿児島の西南西あたり。ネットで検索すると、川とそれを挟む街並みの写真が表示されます。

「故郷」では、語り手は最初船に乗って故郷の町を訪れます。運河が流れている町なので、川を利用した移動手段が発達したのでしょう。

機会があったらぜひ、行ってみたいですね。中国語はまったく話せませんが……

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