「なぜ」にこだわる

中2の理科。

最後の最後に控える難敵が電流と磁界の問題です。

もっと言うと、フレミング左手の法則を使って考える問題です。

文字だけで表現するのは非常に難しいのですが、

「U字型磁石の中に導線が通っていて、電流を流すと導線はどっちに動くでしょうか?」

というお決まりのパターン問題です。

生徒さんのお母様、お父様も中学生の頃に習った問題ではないでしょうか。

そして、一生懸命左手をラッパーみたいな形にして

「こっちが電流で…あれ?こっちが磁界だっけ…?いや・・・これが力の向きだっけ?」

と苦労していたお母様、お父様もいらっしゃるのではないかと推測します。

一生懸命考えた挙句、結局答えが違って・・・

「あ、右手使ってた…」

なんていうオチもあったり。。

実は私も自分が中学生の頃に同じように苦戦していたのです。

フレミング左手の法則の電流と磁界と力の向きがなかなか覚えられず…

覚えられないだけでなく、実際図に当てはめようと思うと左手が思うように動かず…

フレミング左手の法則って、なかなか運用が難しいんですよね。。

フレミング左手の法則を覚えられず苦戦する生徒さんが多い最大の理由は、フレミング左手の法則には「なぜ」がないからだと思うのです。

「とにかく左手の形を覚えろ!」

という理由抜きのゴリ押し戦術なのです。

もちろん、勉強の中には「まずは理由抜きで何でもいいから覚えなさい!」が大事な局面もあるかと思います。

しかし、そういう知識はやはり記憶には残りにくいんですよね。

フレミング左手の法則は電流、磁界、力と3つの方向を複雑な手の形に落とし込むわけですから、「理由抜きで覚えなさい!」というには、なかなかハードルの高いものなのかと。

少なくとも、中学生時代の山口少年の頭にはなかなか浸透しなかったんです。。

ですから、私はフレミング左手の法則は教えません。

「教えない」というと語弊があるかもしれませんが、フレミング左手の法則がなくても先ほど言った「U字型磁石の中に導線が通っていて、電流を流すと導線はどっちに動くでしょうか?」という問題は解くことができるからです。

その考え方を知ってから、中学生時代の私はこの手の問題を間違えることは一切なくなりました。

それは「なぜそうなるのか?」を知ったからです。

磁界と電流がどういう作用をもたらして導線がどっちに動くのか。

その理由を知ったからです。

「なぜそうなるのか?」を知ると記憶は強固に残ります。

この問題、フレミング左手の法則を正しく使えれば一発で解けます。

ただし、あくまで「正しく使えれば」の話です。

フレミング左手の法則の解説が書いてある教科書を見ながらそれに当てはめていけば、その時は解けるかもしれません。

しかし、学校の定期テストで教科書を見ることはできませんよね。

何となく覚えたつもり…のフレミング左手の法則は学校のテストや入試本番では役に立たないケースもあるのではないでしょうか。

「なぜ」がない知識は、「もろい」知識と言ってもいいかもしれません。

「U字型磁石の中に導線が通っていて、電流を流すと導線はどっちに動くでしょうか?」という問題は、「なぜ」を追っていくと確かに何段階か頭を使わないといけない部分が出てきます。

フレミング左手の法則のように一発で分かる方法ではありません。

しかし、「なぜそうなるのか?」を追っていきますので、一度身に付ければそう簡単に忘れない知識になります。

現に、私は中学生の時に覚えて以来、一回も忘れた事がありません。(もちろん、塾講師で仕事で使うから…という要因が大きいことは言うまでもありませんが。。)

私だけでなく、生徒さん達も同じなんです。

フレミング左手の法則を使っていた頃はこの問題が出てくるたびに間違えて、そしてフレミング左手の法則を覚え直して…とやっていたけど、「なぜ」を追いかけて考えるようになってからは一切間違えなくなる、という生徒さんが非常に多いです。

先日も一人の中3生が苦労しながらも、この問題に立ち向かっていました。

電流の向きを確認し、その電流によってできる磁界の向きを確認し、磁石の磁界の向きを確認し、磁力が強まる部分、弱まる部分を確認し、そして最後に力の向きを確認し…

頭の中に汗をかくくらい頭を使ったその生徒さんは、その後の問題は間違えることがなくなりました。

最初の正解にたどり着くまで何度も何度も

「なぜそうなるの?」「どうやって考えたの?」

と私にしつこく聞かれて嫌になった瞬間もあったかもしれません。

でも、それを乗り越えて身に付けた知識は強力です。

その後はビックリするほど類似問題を間違えることがなくなりましたから。

記事がだいぶ長くなってしまいましたね。

とにかく、「なぜ」にこだわる勉強をぜひ皆さんにお薦めしたいと思います!

(注:私はフレミング左手の法則を否定している訳ではありません。それがしっかり記憶に残り、間違いなく運用できるのであればフレミング左手の法則でも良いと思います!)

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