国語の教科書に出てくるようなタイトルをつけてしまいました。
国語が苦手な生徒さんはタイトルだけで読むのを辞めてしまいそうですが・・・(;^_^A
質問です。
人間がほかの動物と違うのはどういう点でしょうか?
難しいですよね。
違う点が多すぎて何を答えれば良いのか分からない…と言う人がほとんどだと思います。
集団で協力して生活していること?
いや、でもそれは働きアリやミツバチも集団行動をしています。
人間は道具を使うけど、他の動物は道具を使わない?
それも違いますよね。
動物好きの人なら知っていると思いますが、チンパンジーやゴリラも道具を使うことが知られています。
人間だけが他の生き物と違う点。
正解の一つが「飛び道具」だそうです。
「飛び道具」を使うのは生き物の中では人間だけ。
(正確にはテッポウウオという魚が水を飛び道具にして獲物を捕まえるらしいですが、聞かなかったことにしておいてください。)
現在のわれわれ人間を「ホモ・サピエンス」と言うのは多くの小中学生の皆さんも聞いたことがあると思います。
ヒト属で今、地球上に生きているのは、われわれホモ・サピエンスだけです。
しかし、大昔にはホモ・サピエンス以外にも人類はいたんですね。
知っている人もいるかもしれませんが、たとえばネアンデルタール人という人類がいました。
約3万年~4万年前に絶滅するまでネアンデルタール人は地球に存在していたようです。
このネアンデルタール人の特徴ですが、ホモ・サピエンスよりも体格が大きく、筋肉も発達しており、生物学的にはわれわれホモ・サピエンスよりも強かったそうです。
以前は「ネアンデルタール人はホモ・サピエンスよりも文明的に劣っていた」という説が広まっていたらしいですが、研究によりネアンデルタール人も石器を使ったり、火を使ったり、いろんな儀式を行ったり、文明的にも決して低くなかったようなのです。
そんなネアンデルタール人がなぜ滅びてしまったのか。
そして、生物的には弱いはずのホモ・サピエンスがなぜ生き残ったのか。
ここに「飛び道具」が関わってきます。
ネアンデルタール人が絶命した時代の前、地球上で大規模な火山の噴火があったそうです。
その噴火の火山灰によって地球全体が厚い雲に覆われました。
そして、地球の気温が一気に下がり、長い寒冷期に突入したそうです。
実はわれわれホモ・サピエンスよりも、生物学的にはネアンデルタール人の方が寒さには強かったそうです。
力も強い、寒さにも強いネアンデルタール人が絶滅し、われわれホモ・サピエンスが生き残った理由の1つに「飛び道具」があったのではないか、という説があります。
寒冷期に入り、当然ですが人間の食料となる動物たちも少なくなりました。
ネアンデルタール人は力が強く槍などで直接大型の動物を取ることができましたので、飛び道具を発達させることがありませんでした。
しかし、ホモ・サピエンスは力が弱いので大型動物だけを獲物とするわけにはいきません。
ホモ・サピエンスは生きるために飛び道具を発達させていたのです。
ホモ・サピエンスは飛び道具を使い、ウサギなどの小動物を狩ることができるようになっていました。
寒冷期となり、食料となる動物が少なくなっても、ホモ・サピエンスはネアンデルタール人が獲ることができない小動物を狩ることができたのです。
力が弱かったからこそ、道具を発展させ、厳しい環境になっても生き残ることができたということです。
「飛び道具」によってわれわれ人類は未来を作ったと言ってもいいのかもしれません。
しかし・・・
そんな飛び道具の歴史を見てみると…、いや、今も使用されている飛び道具を見ていると「未来を作った」などと明るい言葉で記事を締めくくるのは不適切な気がします。
あえて私が言うことでもないですが、皆さんが学ぶ歴史でも飛び道具による悲惨な出来事がたくさん出てきます。
今、この瞬間も無数の飛び道具が多くの人々の命を奪っています。
人類の未来を作ったはずの道具が、人類の未来を壊す可能性も大いにあるのではないか。
そういう気持ちにもなります。
少し難しい話になってしまいましたが、歴史を学ぶということは今や未来を学ぶということにも繋がるのかもしれません。
歴史に限らず、定期テストや入試に向けて皆さんが一生懸命やっている勉強も、きっと将来、どこかで皆さん自身に繋がっていくのだと思います。