自宅から塾まで。
狭山市に住んでいる私は入間川をこえて塾に来ます。
その入間川にかかる「いるまがわ大橋」から秩父方面にみる景色が私はとても好きです。
とくにこの冬の晴天、澄み切った空の下の秩父の山々、その手前に流れる寒々とした入間川、両岸のグラウンドで熱気に帯びた野球少年たち、思わず見とれてしまう景色です。
しかし、それよりも好きな景色があります。それは塾講師であればだれもが好きな景色かもしれません。
受験生たちが真剣にテストに臨む様子。
「景色」と呼ぶには恐れ多いくらい、必死のエネルギーが溢れる教室。
「あと何分」そんなことを言うのも憚られるくらいの緊張感。
この日のために多くを犠牲にし、この日のために心を痛め、この日のために無理を通してきた。
それがこのテストの瞬間にすべて放たれているんです。
安易に頑張れとは言えない。安易にあきらめるなとは言えない。そのくらい重く、張り詰めたこの景色。
「美しい」と表現するしかありません。
われわれ塾講師は皆この景色が好きだと思います。そして、この景色を見て「本当にここまで耐え抜いてくれたな。あと少しだぞ。」と心の中でエールを送るのだと思います。
そして少し悲しくなるんです。
本当に一番美しい景色である入試本番を見ることができないから。
見たいですね、この仕事に就いてからずっと思ってきたことです。決して叶うことのない願いですが、本当にそう思います。
公立高校入試まで残り1カ月と少し。
今日よりももっと美しい景色になるように、われわれができることを全て皆さんに注いでいきます。