映画「ルックバック」を見ました

梅雨が明けて暑い日が続いております。いかがお過ごしでしょうか。

わたしは最近「ルックバック」というアニメ映画を見ました。

「ルックバック」ご存じでしょうか? 「チェンソーマン」で知られている漫画家・藤本タツキが書いた短編マンガです。

現在公開されているのは、それを映画化したもので、上映時間は1時間にも満たないですが、そのぶん、映像と音楽と演出が高い密度で楽しめます。

先日の土曜日にわたしも見に行ったのですが、非常におもしろかったです!

わたしは基本的に、どんな映画を見ても感動で泣いちゃうのですが、「ルックバック」も例にもれず号泣してしまいました。映画館が暗くて良かったです。

以下、良かった点とあらすじを記します。

『ルックバック』の主人公は、絵を描くのが好きな学生・藤野です。その子は持ち前の画力を武器に、小学校の学年通信の四コマ漫画を描いていました。

藤野が書いた学年通信が配られたら、クラスは爆笑の渦。周囲の人からちやほやされて、漫画家になれると称賛されます。そう褒められた藤野は「でも漫画を描くのってめんどうだからなあ」と、あえてネガティブなことをまんざらでもなさそうな顔で言うのが、小学生らしいところです。

あるとき、不登校の京本(きょうもと)という小学生が、藤野と同じように学年通信の漫画を描きます。

その京本の絵がめちゃくちゃにうまい。線の丁寧さ、絵の構図など、卓越した絵の技術を持っている。

京本の絵と、藤野の漫画が並べられ、クラスの小学生も「藤野の絵、京本のやつと比べると普通だな」と評価するほどです。

このことに藤野は大きなショックを受けます。今まで自分が一番うまく、将来は漫画家になれるとおばあちゃんにも言われていた藤野にとって、これほどショックなことはありません。

藤野はこの悔しさを携えて、ひたすらに絵の練習をします。

この、小学三年生から六年生にかけて練習する描写が非常によかったです。

教材を買い、来る日も来る日も絵を描き続け、書くところのなくなったスケッチブックがいくつも部屋の隅に積み重なります。いつまで絵を描いているの? と友人や家族に言われてもおかまいなし。藤野はひたすらに練習を重ねました。

しかしそれでも京本に追いつけないのが現実でした。確かに藤野の絵はうまくなったものの、京本の絵のほうが圧倒的に上手なのは変わりません。あるとき、藤野は絵をかくのをやめてしまいます。絵の練習を始めてから数年がたった、六年生の半ばのことでした。

月日が流れ卒業の日、藤野は学年通信を書いていた仲として、京本の家に卒業証書を届けるよう教師から頼まれます。

いやいや引き受けた藤野は、京本の家の中に入り、そこで、廊下に積み重ねられた大量のスケッチブックを目にします。

藤野も絵の練習をしましたが、京本はもっともっと練習を重ねていたのです。

そして藤野と京本はついに顔を合わせます。

卒業の日に初めて会った二人。そこで京本は藤野に「漫画のファンだった」ということを伝え、藤野の書く作品がいかに素晴らしいか、自分はその作品にどれだけ感動したのかをたどたどしい口調で表現します。

そして京本は、どうして漫画を描くのをやめてしまったのか、尋ねます。漫画の素晴らしい才能があるのに、どうしてやめてしまったのか、と訊くわけです。

そこで藤野はこう答えます。

今、長編の漫画を描いているから。長編の漫画を創っていて、完成したら出版社に送るつもりだから、と。

この場面もめちゃくちゃいいですね。京本の絵のうまさにうちのめされる形で絵をかくのをやめたくせして、ファンであることを伝えられたら調子にのって、漫画を描き続けているとすかした顔で述べるところが、やはり等身大の小学生っぽいです。

京本と別れたあと、雨の降る田んぼ道を藤野が帰るシーンも素晴らしい。傘をささず、濡れることを気にすることもなく、彼女は堂々たるスキップで行き、家に着くや否や、濡れた床などもそのままに絵を描き始めるのです。

ここまでが序盤です。ここから、藤野と京本の物語が始まっていきます。

何かに一所懸命打ち込むこと。作中ではひたすらに机に向かって絵を描いている藤野の背中が多く映し出されます。たとえ挫折しようとも、それでも頑張る人の背中を見ると、応援したくなりますね。

ぜひ、『ルックバック』を見て贅沢な1時間弱を楽しんでみてはいかがでしょうか。

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