突然ですがみなさん、名言は好きですか?
インターネットの検索欄に「スティーブ・ジョブズ」や「マハトマ・ガンジー」といった人名を入力すれば、検索候補として「名言」という言葉が出てきます。やはりそれくらい端的かつインパクトのある言葉が好まれているのでしょうか。わたしも将来は、検索欄に名前を入れると「名言」が候補に挙がるくらいのビッグな人間になりたいものです。
寺山修司という詩人は『ポケットに名言を』という本を著しています。この本は古今東西の哲学書や文学作品、映画などから様々な名言を集めて一冊にまとめた本です。
寺山修司が、彼の一番の名言としているのが、太宰治も敬愛したという作家・井伏鱒二の「花に嵐のたとえもあるさ さよならだけが人生だ」という詩。めちゃくちゃいいですね。「別れ」とか「別離」などといった言葉を使うのではなく「さよなら」という口語的な言葉を用いているところが好きなのですが、解説してしまうと元の詩にあった鋭さが失われてしまうようので、このくらいで止めておきます。名言というのはもともと短くて成り立つものなので、余計な言葉を付け加えることはかえって名言の良さを損なってしまうかもしれません。
個人的な話なのですが、わたしにもちょっと気に入っている名言があります。それはエリック・クラプトンというギタリストの「ステージに上がったら自分が1番上手いと思え。 そしてステージを降りたら自分が1番下手だと思え」という言葉です。ギターも弾けないし、そもそもクラプトンについてほとんど知らないわたしですが、この言葉だけは知っています。
受験勉強にいそしんでいるとき、わたしはこの名言を「テスト中は自分が一番頭がいいと思え。そして普段勉強しているときは自分が一番馬鹿だと思え」と勝手に改造して、勉強の方針にしていました。そうすることで、テスト本番中は緊張しなくなって、自分の力が十分に発揮でき、机に向かって勉強しているときは危機感を覚えて、よりやる気が出せていました。入試が刻一刻と近づいていますが、本番でどうしても緊張してしまうという方がいましたら、本番で「自分が一番頭がいい」と思ってみてはいかがでしょうか。きっと、緊張が晴れると思います。
あとがき
ところでクラプトンの「ステージに上がったら自分が1番上手いと思え。 そしてステージを降りたら自分が1番下手だと思え」という名言なのですが、ネットで検索したところ、出典が見つかりませんでした。「このインタビューで発言した」とか「このステージで言った」といった情報が全くと言っていいほど見当たらないのです。ひょっとしてこれ、誰かの捏造なのでしょうか。もしそうなら、「テスト中は自分が一番頭がいいと思え。そして普段勉強しているときは自分が一番馬鹿だと思え」という名言はもはやわたしの名言と言ってもいいのではないでしょうか。名前を検索欄に入れると「名言」がヒットする日も、案外遠くないかもしれません。(大崎)