以前、「自分にあった勉強方法を見つけよう」というテーマで記事を書いたことがあります。
この記事の中で「効率の良い勉強方法」について少し触れています。
しかし申し訳ないのですが、この記事の中に「効率の良い勉強方法はこれだ!」ということは書いてありません。
塾講師にあるまじき言葉かもしれませんが、
「効率の良い勉強方法は分からない…」
と書いてあります。
いや、「私にとっての効率の良い勉強方法」であれば、いくらでも伝えることはできるのです。
ただそれは、教室長の樋口にとっては効率が良いとは言えないかもしれませんし、私の子ども達にとっても効率が良いとは言えないかもしれません。
生徒の皆さんの中には、私と同じ勉強方法がバチッとはまる生徒さんもいるかもしれませんし、逆に効率が悪くなってしまう生徒さんもいるかもしれません。
もちろん、生徒さんや保護者様から
「どういう勉強方法が効率良いですか?」
と聞かれれば、私がやっている勉強方法、今まで見て来た生徒さんで成績が良い生徒さんがやっていた勉強方法、いくらでもお話させて頂きます。(逆にこれはさすがにやらない方がいいのでは…という勉強方法もありますが 笑)
でもそれが、その生徒さんにとって効率が良いのかどうかは分からないのです。
塾の先生によっては
「これが効率の良い勉強方法だ!」
といって、同じ勉強方法を生徒さん全員に強制する先生もいらっしゃるようです。
でも、私は誰もが効率がいいと感じる勉強方法は存在しないと思っています。
それは、昔から今に至るまで勉強方法に関する書籍がいくつも出版されていることからも分かる気がするのです。
もし、何か強烈に効率が良くなる勉強方法があったとしたら、すでにほとんどの人がその方法に従って勉強して来ているはずです。
でも、そうではないから毎年のようにいろんな勉強法にまつわる書籍が出版されているのだと思うのです。
これは何も生徒さんの勉強だけではなく、大人の仕事術なんかも同じではないでしょうか。
「これを実践すれば結果がを出すことができる!」
という方法があったとしたら、とっくの昔にみんなその方法を試していると思います。
そして、みんな結果を出していると思うのです。
でも、それが合わない人がいるから(むしろ合わない人の方が多いから)、数多くの仕事術に関する書籍が次から次へと出版されているのだと。
では、効率の良い勉強方法とは一体何なのか?
非常に無責任な答えを書いてしまいますが(答えになってないかもしれませんが)、それは
「自分が夢中になれる勉強方法」
ではないか、と思うのです。
もちろん、これが唯一の答えではないとは思います。
でも、やはり「夢中になっている時」というのは、それ以外のことは考えていないと思うのです。
楽しくてどんどん次に進めたいと前向きな状態になっていると思うのです。
前向きな気持ちであれば、頭の中に知識が入って来る量も多いですよね。
ちょうど今、私の家では子ども達が夏休みの宿題をやり始めています。
小4の長女の宿題の1つに漢字プリントがあります。
漢字の問題を解いていくプリントなのですが、分からない問題は教科書を自分で調べて進めていかなければいけません。
逆を言えば、教科書を読みさえすれば書いてある漢字ばかりなので、それほど大変でもないはずなんですね。
しかし、彼女は漢字が大嫌いで、そのプリントをやっている時にため息ばかりついているのです。
少し進めては鉛筆を置き、天井を眺めて、席を立って麦茶を飲み…
(あ~ぜんぜん集中してないなァ)
というのがアリアリと見えるんですね。
「なんで漢字が嫌いなの?」
と聞くと、
「形を覚えるだけでつまらないから」
と答えるわけです。
そこで
「漢字辞典で漢字の意味とか調べながらやってみたら?」
と勧めると…
そこから、彼女は国語の教科書と漢字辞典の両方を見ながら、「へぇ~」とか、「ねぇ、ママ知ってた?」とか、単純作業でやっていた時とは別人のように漢字プリントをやり始めたんですね。
そして、今は漢字プリントどころか、自分で独自に調べた漢字や言葉をまとめているとか。。
もちろん、漢字辞典でプリントの問題と関係ないことまで調べるわけですから、「宿題の漢字プリントを終わらせる」という点で見れば効率は著しく悪いわけです。
でも、ただ単にプリントの答えを埋めていく作業的な勉強をしていた時は、いやいやオーラを振りまきながら、カピバラのようにゆっくり動いていたんです。
それが今は、漢字辞典で漢字の意味や成り立ちを生き生きと一生懸命調べている訳です。その中で、漢字プリントもサラサラと終わらせているみたいなのです。
こうなると、どっちが効率が良い勉強なのか、まるで分かりません。
必要とされていることだけをやるのが効率の良い勉強のように思いますが、それをつまらないと感じてダラダラとやるのであれば、結局終わるのは遅くなります。それに後ろ向きの気持ちでやっている間は、なかなか頭の中に知識は残らないと思うのです。
いっぽうで、余計なことをやっているように見えて、それが夢中になれるのであれば手はどんどん進んで行くのかもしれません。もちろん、求められていることには必要のないことに使う時間もあるかもしれません。でも、最終的には作業的にやっている勉強よりも早く終わることもあるのではないか、と。
今回の長女の話は少し極端な例かもしれませんが。
とくに中3生の場合、結果を出さなければいけないテストの日まで時間は限られていますし、勉強内容も小4の漢字とは比較にならないほど大量にあります。
全てのことについていちいち辞書や辞典を使って調べる、というのは流石に無理な話かもしれません。
でも、「夢中になるための工夫」というのは、色んなところにあると思うのです。
「単調に問題を解いて丸付けをする」では、どうしても飽きてしまっていまいち頭に入らない…、ということであれば、ノートまとめをしてみるとか。(このノートまとめも「非効率的」と言われることがありますが、私自身は大学生の時までテスト勉強はノートまとめをしていました。私にとっては肌に合っていたんですね。)
1ページ、1ページ、自分なりにテストをしてみて、自分の中の基準点を下回ったらスマホの時間を1日10分削るとか。
ストップウォッチを片手に1ページを解くタイムを計って、常に最高記録を目指してやってみるとか。
勉強嫌いな生徒さんの中には「夢中になんかなれるわけないだろ!」と、ツッコむ人もいるかもしれませんが…(;^_^A
そんなことはないと思います。
自分でいろいろ考えて、いろいろ試して見つけた勉強方法は、きっと誰かに強制されたものよりもずっと楽しい勉強方法だと思います。
もちろん、われわれからも「こんな勉強方法もあるよ!」と提案することはできますので、「”夢中になれる勉強方法”を探してみよう!」という人は、講師やサポーターの先輩に聞いてみて欲しいと思います!