皆さん、パソコンのキーボード配列をイメージできますか?
スマホのキーボード入力の配列でもいいのですが。
皆さんがイメージした配列。
きっと・・・いや、絶対に、私が今、この記事を書くために叩いているキーボードの配列と同じはず。
そうなのです、世の中のパソコンのキーボードの配列は全て同じなのです!(スマホのキーボード入力の配列も)
パソコンだけでなく、今やもう絶滅寸前?のワープロも同じ配列です!
このキーボードの配列を「QWERTY配列」と言います。
(この名称はキーボードの下から3段目の左から6つ並べた文字です。)
なぜ、世の中のありとあらゆるキーボードがこの配列になっているのでしょうか?
考えてみると不思議ではありませんか?
と、私自身が質問されたとしたらきっとすぐにこう思います。
「そんなの、それが一番効率が良いからに決まってるだろ?」と…
皆さんもそう思いませんか?
だってこれだけ世の中に広まっている機械なんです。
そして、多くの人が(私も含め)これだけ毎日使っている機械なんです。
最新の科学を用いた研究によって、極限まで効率化された機械であるはず!と思うのが当然ですよね?
が、しかし・・・
なんとこのQWERTY配列は、「逆に人間のタイピングができるだけ遅くなるように作られた」という話があるのです!!
衝撃!!!
パソコンのキーボード配列は、もとはアメリカのタイプライターの配列から来ています。
タイプライターとは、キーボードを打ちながら文字を印字する機械です。
第二次世界大戦を描いたアメリカの映画などによく出てきます。
気になる人は以下のページへ。
初期のタイプライターはあんまりにも速く文字を打ちすぎるとワイヤーが絡んで壊れてしまう、という性質があったとか。
それゆえ、人間があまりに速く打ち過ぎないように、あえてタイピング効率が悪くなるようにキー配列をQWERTY配列にしたらしいのです。
しかし、タイプライターの性能も上がり、速く文字を打っても壊れないようになってきます。
であれば、人間の手の構造や動きのメカニズム的に効率の良いキー配列になっても良さそうです。
いや、むしろそうあるべきです!
当然、そう考える人が現れます。
その名もオーガスト・ドヴォラック。
この人が、自らの名前を付けたDvorak配列を生み出します。
しかし、このDvorak配列はアメリカ政府の実験を経て、不採用になります。
どうやらQWERTY配列と比較しても大して効率が良い、という結果にならなかったそうです…
が、実はこの不採用にもタイピングの効率の話以外にも、理由があったとか。
当時、すでにQWERTY配列によるタイプライターが世の中に普及していました。
それを別の配列(Dvorak配列)のタイプライターに作り替えるには膨大なお金がかかってしまいます。
タイプライター会社も、QWERTY配列のタイプライターを新たにDvorak配列に変えるのは大変面倒くさい・・・ということだったのでしょう。
そんな理由もあり、QWERTY配列が今でも世界中で使われています。
でも、不思議じゃありませんか?
タイプライター会社が1つしかなければ、配列が1つでも不思議ではありません。
でも、昔のアメリカにはタイプライター会社はたくさんあったそうです。
であれば色んな配列があってもおかしくありません。
それこそ、ドヴォラックのような人が「うちの会社の配列が一番効率が良いんだ!」とか、「もっとも速く打てる新タイプライター!」とか、売り出す会社があっても良かったはずなのです。
実は、当初のタイプライターは色んな配列があったそうです。
しかし、ある時期からタイプライターの配列はQWERTY配列にほぼ統一されてしまいます。
なぜか?
それは、「大きなタイプライター会社同士が手を組んで、タイプライター業界を支配してしまったから」だそうです。
中3生は公民の勉強で出てきますが、俗にいう独占というヤツです。
市場を少数の企業が独占することで、タイプライターの値段を高いまま消費者に売るという戦法です。
・・・本当はもっと効率的に世界中の人がタイピングをすることができていた世の中があったかもしれないのに、少数の企業の思惑で・・・
と、考えるとなんだかモヤモヤしてしまいますが。。
そう考えると、それに立ち向かったドヴォラックが正義の味方のような気もしますが、実はドヴォラックも自身が発案したDvorak配列を世の中に広めるために、ずいぶんとでっちあげに近いことも主張していたとか・・・
初期のタイプライターが速く打ちすぎると壊れてしまう…というのも、ドヴォラックがずいぶんと吹聴したとかしないとか…?(どうやら「初期のタイプライターが壊れないようにQWERTY配列になった」という話もだいぶ疑わしい話のようです。)
私たちが使っている身近なものにもいろんな歴史があり、人間の色んな思いが詰まっていると考えると、面白いような・・・「人間ってやっぱり欲深いんだなぁ…」と切なくなったりもするような・・・気がします。。