どの教科にエネルギーを注ぐか

いよいよ入試が迫って来ました。

私立高校入試までは1ヵ月ちょっと。

公立高校入試までは2か月ちょっと。

長かった受験生活もいよいよクライマックスです。

今日は、「ここから入試までどの教科の勉強にエネルギーを注ぐべきか?」という話をしたいと思います。

私立高校入試に関しては、「過去問演習を行い、穴を見つけて埋めていく」という学習で問題ないかと思います。

特別、「どの教科を」というのを神経質に考える必要はないと思います。

一方で公立校入試については、教科によって勉強のエネルギー配分(学習量の配分)を変えたが良いと思います。

ズバリ、ここから公立高校入試までエネルギーをかけるべき教科は、社会と理科です。

(すでに理科、社会の過去問や北辰テストで90点以上を当たり前のように取ることができている生徒さんは除きます。そこまで仕上がっている生徒さんは、数英国の実践演習もバランスよく取り入れた方が良いと思います。)

なぜ、社会と理科にエネルギーをかけるべきなのか?

単純な話ですが、「勉強すれば点数になりやすいから」です。

たとえば数学と社会の問題で比較してみましょう。

まず2025年の埼玉県公立入試の数学、大問1の問7の問題を見てみます。

基本的な連立方程式の問題です。

数学が苦手で計算力の積み上げがほとんどない状態だとして、この問題を解けるようになるまでに必要な過程を考えてみます。

まず、基本的なかけ算、割り算の計算力が必要です。さらに公倍数という考え方も必要です。正負の数のたし算、引き算の計算力も必要です。方程式のルールも理解していないといけません。入試で確実に点数に結びつけるためには、「計算ミスがどこかにないか」のチェック力(見直しの力)も必要です。

今度は2025年の埼玉県公立入試の社会、大問1の問1の問題を見てみます。

社会の知識がほぼ0の状態から、この問1の問題を解けるようになるまでに必要な過程を考えてみます。

世界地図を見て「この大陸の名前は南アメリカ大陸だ」と認識して覚えるだけ。

これだけです。

知識が0だとしても、この問題を得点に結びつけるための過程はこれだけなんです。

もちろん、これは少し極端な例かもしれません。

しかし、「入試で点数に結びつきやすい」という観点で考えたとき、数学と社会の比較においてはほとんどの場合で、社会の方が点数までの道のりは短いと思います。

数学はほとんどの問題で0⇒1で点数に結びつくような教科ではないからです。

これは数学だけでなく、英語や国語でも同じようなことが言えるかもしれません。(場合によっては国語がもっとも点数までの過程が長いかも…)

しかし、社会や理科の単純な知識の問題は、場合によっては0⇒1の過程で点数に結びつきます。

「いや、理科だって計算問題があるじゃないか。そんなに簡単な話でもないだろう?」

と、考える人もいるかもしれませんが、埼玉県の公立高校入試の理科は「知識を問う」問題が大半を占めます。

計算力や思考力を問うような問題はそれほど多くは出題されていないのです。

極端な例を出しますが、こんな問題が昨年は出題されています☟

「星がくるくる回っているのは北の空」ということを覚えていれば得点にできる問題です。

まさに0⇒1の過程で点数に結びつくような問題といえるでしょう。

「理科は計算が・・・」とか、「思考力が・・・」とか、理科を苦手とする生徒さんが多いですが、実は社会同様に点数に結び付きやすい教科と言えるのです。

点数に結びつきやすい以外にも理由があります。

それは「社会と理科は周りと差がつけやすい」ということです。

下の表は直近3年間の埼玉県公立高校入試の標準偏差を示しています。(埼玉県教育委員会資料)

年度学力検査学校選択
国語社会数学理科英語数学英語
令和7年標準偏差19.1021.9019.2723.6518.2013.4117.02
令和6年標準偏差19.4922.3118.9620.9022.4913.4412.17
令和5年標準偏差19.0222.5220.6120.5318.9214.6313.88

標準偏差を簡単に説明すると、「どのくらい点数が散らばっているか」を表す指標です。

標準偏差が大きいほど点数の散らばりが大きいということになります。つまり、標準偏差が大きいほど点数の差がついている、とも言えます。

社会と理科の標準偏差を見てみると、この3年間はずっと20を超えています。

一方で国、数、英で20を超えているのは令和6年の学力検査の英語のみ。

周りと差をつけやすい、という観点からも社会、理科の学習にエネルギーを注ぐメリットがあると思います。

もちろん、国、数、英の勉強を全くしなくても良い、という話ではありません。

その3教科も全くやらないでいると、どんどん知識が抜けていきますし、感覚も鈍っていきますから。

勉強のバランスを考える、ということです。

例えば今までは、国:数:英:理:社=2:2:2:2:2で勉強していたのであれば、国:数:英:理:社=1:1:1:3:4にしてみるとか。

毎日の勉強のローテーションを「国・数・英」⇒「数・英・理」⇒「英・理・社」⇒「理・社・国」・・・

としていたなら、

「理・社・国」⇒「理・社・数」⇒「理・社・英」⇒「理・社・国」・・・

にしてみるとか。

これからの勉強は、「とにかく理社を多く勉強する」ということを公立高校受験生にはお勧めします。

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