「丸の内」の由来についての考察

 突然ですがみなさん、丸ノ内線という路線をご存じでしょうか。池袋駅から荻窪駅を結ぶ、赤いカラーリングが特徴的な東京メトロ運営の鉄道路線です。

 高校生の頃、この丸ノ内線を利用したときに、どうして「丸ノ内」という名前がついているのかを考えたことがあります。そのときに出した答えが「山手線の内側にあるからだ」というもの。山手線は黄緑色が印象的な鉄道です。東京都心をぐるっと一周するように線路が敷かれていて、だいたい一時間ほどで一周できます。その円形の山手線の内側にあるから丸ノ内線というのではないかと、当時のわたしは考えました。

 しかしインターネットで調べたところ、丸ノ内という名前は単なる地名にちなんだものだそうです。昔、江戸城があったころ堀の内側のことを丸の内と呼んだことに由来するそう。結局、山手線は関係がなかったことがわかりました。

 ただ個人的には、単に地名に由来するよりも、山手線の内側にあるから丸の内線と呼ぶという考えのほうが、考え方としてきれいであるような気がします。うまくパズルにハマった感覚みたいな。高校生の頃のわたしはこの考えを思いついて勝手に納得した気になっていたのですが、地名にちなんだものだと知ってやや気落ちしました。「山手線が丸い形をしていて、その内側にあるから丸ノ内線だ」という説の方がエピソードとして簡潔できれいにまとまっていると当時のわたしは思いましたし、今でもやや思っています。現実問題、地名が由来である以上、とやかく言えることではありませんが。

 このお話から学べる教訓があるとすれば、現実はそう簡単につじつまが合うようにはできていない、ということかもしれません。たとえその考えが理路整然としていてうまく他の話と繋がるものだったとしても、必ずしもそれが正しいとは限りません。

「風が吹けば桶屋が儲かる」ということわざをご存じでしょうか。一見、関係のないところにも論理が成り立つことを表現した言葉です。このことわざの背景には、風が吹いたら砂埃が目に入って目が見えない人が増え、そうすると三味線を弾いて生計を立てる人が増加し、三味線に必要なネコの皮を確保するためにネコが町から減って、そのせいでネズミが増えて桶がかじられて結果的に桶屋が儲かる、みたいなむちゃくちゃな論理があります。実際にこのようなことが起きるかどうかはさておいて、現実は思っている以上に複雑怪奇にできていて、理解できているのはほんの一部だけなのかもしれません。納得のいかないものや訳の分からないものの背景にも、きっと理由があります。不思議なものに直面したら、すぐにそのまま受け入れるのではなくて、その裏にあるものを考えてみてはいかがでしょうか。

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