計算することから式を立てることへ

 突然ですが皆さん、「QuizKnock(クイズノック)」という集団をご存じでしょうか。クイズ王・伊沢拓司が率いる東大発の知識集団で、WebメディアやYouTubeチャンネル、ゲームアプリなどのさまざまなコンテンツを展開し、おもしろく学べる場を提供しています。私もしばしば彼らの動画を見ては、知性を生かした視点に驚き、時には感動し、楽しませてもらっています。

 個人的に好きなクイズノックの動画は「東大生がガチで競馬予想したら当たる?」という企画です。出走する馬や競馬場の特徴を分析する人や、星座占いなどのオカルト手法で投票する馬を決める人など、様々な切り口で勝つ馬を予想しています。

 動画内で出てきた方法の中で気になったのが、数学を使って理想的な馬券の買い方を探す方法。プログラミングを用いて、効率的な馬券の買い方の組み合わせを探すやり方です。そのやり方をまねて、私も実際にプログラムを書いてみました。記事の最後に載せておきますので興味のある方はご覧ください。

 プログラムを書く上で大変だったのは、式を立てることでした。

競馬の戻り金は、オッズという数値と賭け金をかけて求められます。例えば、オッズが2.2の馬に300円賭けたとすると、

2.2×300

という式が立てられ、合計660円の払い戻しがされます。オッズと賭け金さえわかっていれば、簡単に払戻金を計算できます。

しかし逆に考えてみたらどうでしょう。例えば、オッズが4.5倍の馬がいて、6000円の払戻金が欲しいとき、その馬にいくら賭ければいいでしょうか。どのような式を立てればいいかわかりますか?一応答えを記しておくと

6000÷4.5

という式を立てれば、いくら賭けたらよいのかが計算できます。答えは1333.333…となりますが、馬券は100円単位でしか買えないので1400円の馬券を買えばいいことになります。

計算式、作れましたでしょうか?式を見ると「こんな単純だったんだ」と思われた方もいるのではないでしょうか。

 このように式を作ることは、その式を計算するよりも難しい場合が多いです。「30cmのアメを四等分した長さを求めなさい」という問題文よりも「30÷4を計算しなさい」と言われた方が問題として解きやすいと思います。

 この式と問題文の関係は入試にも表れています。北辰テストを開くと分かるように、数学の入試問題の最初の数問は単純な計算式だけで構成されています。しかし解き進めると自分で式を立てなければいけない問題が現れてきます。問題の焦点が「計算すること」から「式を立てること」に代わっています。

 コンピュータが普及している昨今、計算することは計算機を用いれば楽にできます。しかし計算式を作ることはどうでしょうか。計算式を立てることはコンピュータには結構難しいんじゃないかと思います。機械が難しい計算をしてくれる今の時代では、計算をすることよりも式を立てることの方が、人間に対してより求められているのではないでしょうか。

 最後になりますが、馬券の購入は必ず20歳を過ぎてから行うようにしてください。万が一20歳を過ぎて馬券を購入する機会があったとしても、今回作成したプログラムを用いて馬券を買うことは強くお勧めしません。

 上のプログラム(灰色の部分)を実行すると、下の結果(白地の部分)を出力します。クイズノックの動画で使われたコードとは少し異なっているかもしれませんが、目標金額と自分の所持金、馬のオッズを入力すれば同じような計算ができ、効率的な馬券の買い方を教えてくれます。(大崎)