夏目漱石『夢十夜』

 暑い日が続いております。いかがお過ごしでしょうか。

 突然ですが、皆さんは夢を見ていますか?私は毎晩、毎晩、悪夢にうなされる日々が続いています。ほとんどの場合、夢の具体的な内容は朝起きると忘れてしまい、大まかな印象だけがぼんやりと残っているのですが、強烈な内容だと起きた後も夢の中の光景が頭にこびりついて離れません。最近見た夢で特に印象的だったのが、夕食の味噌汁の中に、私の大嫌いなトマトが輪切りで入っているという内容でした。トマトにとまどう、ということですかね。

 夢の中では奇想天外なことがしばしば起こります。そのせいもあって、夢は古来より創作の種や研究の対象として扱われてきました。例えば、シュールレアリスムという20世紀前半の芸術運動は、夢から着想を得て、現実の枠組みを超えた作品を多く作り出しました。シュールレアリスムの芸術家として有名なのは、サルバドール・ダリでしょうか。どろどろに溶ける時計を描いた「記憶の固執」という絵が有名です。写真で見たことがある方もいらっしゃるかと思います。

 夏目漱石『夢十夜』も、夢の世界を描いた短編連作です。理解や説明がとても及ばない夢の世界観を、夏目漱石は幻想的に描いています。「邯鄲(かんたん)の夢」「一炊の夢」ということわざにもあるように、人の夢とは本来儚いもの。夢の中で大金持ちになったとしても、目が覚めてしまえばすべてが水泡に帰してしまいます。この作品にも、そんな無常感が通底しているように感じます。

『夢十夜』は著作権が切れているので青空文庫でも読むことができます。短い作品なので、この夏、読んでみてはいかがでしょうか。(サポーター大崎)